2011年7月9日

カティンの森

第二次世界大戦中、ソ連の捕虜となりポーランド人将校数千人がソ連内のカティンの森で密かに虐殺された。そのなかに、フィリピンスキ少佐がいた。

だが、この事件を知らない少佐の娘ニカは、母と祖母と一緒に少佐の帰還を空しく待ち続けていた。やがて彼女の前にある過去を持つ青年が現れる。美しく悲しいニカの恋の物語と共に、ポーランド史の暗部を巧みに描き出す。

自らの父親もまた同事件の犠牲者である映画監督アンジェイ・ワイダが、80歳のときに取り組んだ作品である。原作は、脚本家でありルポルタージュ小説家でもあるアンジェイ・ムラルチクが執筆した『死後、カティン』である。構想に50年、製作に17年を要している。

撮影は『戦場のピアニスト』等でも知られるポーランド出身の撮影監督パヴェウ・エデルマン、音楽はポーランド楽派の作曲家クシシュトフ・ペンデレツキが手がけた。ポーランドでは、2007年9月17日、首都ワルシャワでプレミア上映され、同年同月21日に劇場公開された。

翌2008年/平成20年、第58回ベルリン国際映画祭でコンペティション外上映された。ワイダは、2010年/平成22年、4月7日、ロシアのウラジーミル・プーチン首相、ポーランドのドナルド・トゥスク首相が出席した「カティンの森事件」犠牲者追悼式典に参列した。

日本では、2009年/平成21年、10月20日、東京国際女性映画祭で上映されたのちに、アルバトロスが配給して同年12月5日に公開された。翌2010年5月7日には同社が発売元となり、DVDがリリースされた。

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